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「歯並びを治したいけど、矯正期間はどのくらいかかるのかな…」
矯正治療を検討する際、多くの方がこのような疑問を持たれます。特に、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらを選ぶべきか迷われる方も少なくありません。
矯正治療は長期間にわたるものですから、治療期間の長さは重要な選択基準になります。今回は歯科医師として多くの矯正治療に携わってきた経験から、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の期間の違いについて詳しく解説します。
それぞれの特徴を理解することで、あなたに合った矯正方法を選ぶ参考にしていただければ幸いです。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の基本的な違い
まずは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の基本的な違いについて説明します。
ワイヤー矯正は、歯に取り付けたブラケットにワイヤーを通して歯を動かす方法です。一方、マウスピース矯正は透明なプラスチック製のマウスピースを定期的に交換しながら少しずつ歯を動かしていきます。
両者の大きな違いは、ワイヤー矯正は装置を取り外すことができないのに対し、マウスピース矯正は食事や歯磨きの際に取り外すことができる点です。
ワイヤー矯正は金属製のため目立ちますが、マウスピース矯正は透明で目立ちにくいという特徴があります。
また、ワイヤー矯正は歯に常に力がかかるため痛みを感じることがありますが、マウスピース矯正は比較的痛みが少ないと言われています。
それでは、治療期間という観点から両者を詳しく比較していきましょう。
治療期間の比較
治療期間については、一般的にはワイヤー矯正の方が短い傾向にあります。
ワイヤー矯正は装置が固定されているため、常に矯正力が働いています。そのため、効率よく歯を動かすことができるのです。
一方、マウスピース矯正は1日20時間以上の装着が必要ですが、食事や歯磨きの際には外すため、矯正力が働いていない時間があります。
また、ワイヤー矯正はより強い力で歯を動かせるため、複雑な症例や大きく歯を動かす必要がある場合に適しています。
しかし、これはあくまで一般的な傾向であり、個人の歯並びの状態によって治療期間は大きく異なります。軽度の症例であれば、マウスピース矯正でも短期間で治療が完了することもあります。
ワイヤー矯正の治療期間と特徴

ワイヤー矯正の治療期間は、症例の複雑さによって異なりますが、一般的には1年半〜2年程度かかることが多いです。
ワイヤー矯正は長い歴史があり、豊富な実績に基づいた治療法です。複雑な歯の移動にも対応できるため、幅広い症例に適用することができます。
ワイヤー矯正の特徴として、以下のようなポイントが挙げられます。
- 装置が固定されているため、自己管理の負担が少ない
- 複雑な歯の移動や大きな移動にも対応できる
- 定期的な調整(約1ヶ月に1回)が必要
- 食べ物が装置に挟まりやすいため、食事や歯磨きに制限がある
- 装置が目立つため、見た目を気にする方には不向き
ワイヤー矯正は、歯科医師が直接調整するため、治療の進行をきめ細かくコントロールできるというメリットがあります。そのため、複雑な症例でも確実に治療を進められるのです。
ワイヤー矯正で治療期間が長引く要因
ワイヤー矯正で治療期間が長引く主な要因としては、以下のようなものが考えられます。
- 症例の複雑さ(重度の叢生、開咬、受け口など)
- 患者さんの年齢(成人の場合、骨の代謝が遅いため時間がかかる)
- 治療計画の変更(途中で問題が生じた場合)
- 装置の破損や脱落(修理のために時間を要する)
- 定期的な通院ができない場合
特に、成人の場合は子どもに比べて骨の代謝が遅いため、同じ症例でも治療期間が長くなる傾向があります。
しかし、近年は矯正技術の進歩により、従来よりも短期間で治療できるケースも増えています。
マウスピース矯正の治療期間と特徴

マウスピース矯正の治療期間も症例によって異なりますが、一般的には1年〜2年程度かかることが多いです。
マウスピース矯正は比較的新しい治療法ですが、技術の進歩により適応症例が広がっています。特に軽度から中等度の歯並びの乱れに対して効果的です。
マウスピース矯正の特徴として、以下のようなポイントが挙げられます。
- 透明で目立ちにくい
- 取り外しができるため、食事や歯磨きが通常通り行える
- 痛みが比較的少ない
- 定期的な通院頻度が少ない(約6〜8週に1回)
- 1日20時間以上の装着が必要で、自己管理が重要
- 複雑な歯の移動には不向きな場合がある
マウスピース矯正は、事前にコンピューターでシミュレーションを行い、治療計画を立てます。そのため、治療の進行や期間をある程度予測することができるのです。
マウスピース矯正で治療期間が長引く要因
マウスピース矯正で治療期間が長引く主な要因としては、以下のようなものが考えられます。
- 装着時間の不足(1日20時間以上の装着が必要)
- 計画通りに歯が動かない場合(追加のマウスピースが必要)
- 複雑な歯の移動(回転や圧下など)が必要な場合
- 患者さんの協力度(定期的な交換や装着の徹底)
- マウスピースの紛失や破損
特に、装着時間の不足は治療効果に大きく影響します。マウスピース矯正は自己管理が重要であり、患者さん自身の協力が治療期間を左右するのです。
マウスピース矯正を選ぶ際は、自分のライフスタイルや性格を考慮し、きちんと装着できるかどうかを検討することが大切です。
どちらを選ぶべき?判断のポイント
ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらを選ぶべきかは一概には言えません。それぞれの特徴を理解した上で、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
以下に、判断のポイントをいくつか挙げてみます。
歯並びの状態で選ぶ
歯並びの状態によって、適した矯正方法は異なります。
- 重度の叢生(歯がガタガタに並んでいる状態)
- 大きな出っ歯や受け口
- 大きく歯を動かす必要がある場合
- 歯の回転や圧下が必要な場合
上記のような複雑な症例では、ワイヤー矯正の方が効果的です。より強い力で確実に歯を動かすことができるため、治療期間も比較的短くなる可能性があります。
一方、軽度から中等度の歯並びの乱れであれば、マウスピース矯正でも十分に対応できることが多いです。
ライフスタイルで選ぶ
あなたのライフスタイルや性格も、矯正方法を選ぶ上で重要なポイントです。
人前に立つ機会が多い方や、見た目を重視する方は、目立ちにくいマウスピース矯正が向いているかもしれません。
また、自己管理が得意で、規則正しい生活を送れる方であれば、マウスピース矯正の装着時間の管理も問題なくできるでしょう。
一方、自己管理が苦手な方や、忙しくて装着時間を確保できない方は、取り外しの必要がないワイヤー矯正の方が向いているかもしれません。
食事を楽しみたい方や、頻繁に飲食する機会がある方は、食事の際に取り外せるマウスピース矯正の方が生活の質を維持しやすいでしょう。
治療期間を短縮するためのポイント
矯正治療の期間をできるだけ短縮するためには、いくつかのポイントがあります。
ワイヤー矯正の場合
- 定期的な通院を欠かさない
- 歯科医師の指示を守る(ゴムかけなど)
- 装置の破損に注意する(硬いものを噛まないなど)
- 口腔内を清潔に保つ(歯磨きを丁寧に行う)
- 必要に応じて抜歯などの追加治療を検討する
特に、定期的な通院は重要です。歯の動きを確認しながら適切なタイミングで調整することで、効率よく治療を進めることができます。
マウスピース矯正の場合
- 1日20時間以上の装着を徹底する
- 指示通りにマウスピースを交換する
- マウスピースを清潔に保つ
- 紛失や破損に注意する
- 定期的な通院で歯の動きを確認する
マウスピース矯正では、装着時間の確保が最も重要です。食事や歯磨き以外の時間はできるだけ装着し、指示された期間でしっかりと交換することで、計画通りに治療を進めることができます。
どちらの矯正方法でも、歯科医師との信頼関係を築き、指示をきちんと守ることが治療成功の鍵となります。
まとめ:あなたに合った矯正方法を選ぼう
ワイヤー矯正とマウスピース矯正、期間で選ぶならどちらが良いのか、これまでの内容をまとめてみましょう。
- ワイヤー矯正は固定式で常に矯正力が働くため、複雑な症例でも効果的に治療できる
- マウスピース矯正は取り外し可能で目立ちにくいが、装着時間の確保が重要
- 治療期間は症例の複雑さや個人の状態によって大きく異なる
- 一般的には、複雑な症例ではワイヤー矯正の方が治療期間が短くなる傾向がある
- 軽度から中等度の症例であれば、どちらの方法でも大きな差はないことが多い
矯正治療は長期間にわたるものですから、治療期間だけでなく、ライフスタイルや見た目の好み、自己管理能力なども考慮して選ぶことが大切です。
最終的には、歯科医師との十分なカウンセリングを通じて、あなたの歯並びの状態や希望に合った最適な矯正方法を選ぶことをおすすめします。
当院では、患者さん一人ひとりに合った矯正治療プランをご提案しています。ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらが自分に合っているのか迷われている方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。
あなたの素敵な笑顔のために、最適な矯正治療をサポートいたします。
詳しくはあおぞら歯科おとなこども矯正歯科のホームページをご覧ください。カウンセリングのご予約も承っております。
著者情報
あおぞら歯科おとなこども矯正歯科 院長
小島 史雄

経歴
2017年3月 日本大学歯学部卒業
2017年~2025年 埼玉県越谷市 浅賀歯科医院 副院長勤務
2022年~2024年 千葉県柏市 柏いろは歯科おとなこども歯科 非常勤勤務
2025年 あおぞら歯科おとなこども矯正歯科
所属学会
日本口腔インプラント学会 専門医
日本歯周病学会
日本インプラント臨床研究会



