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歯並びを整えたいと思ったとき、最初に思い浮かぶのは「ワイヤー矯正」ではないでしょうか。ワイヤー矯正は長い歴史と実績があり、様々な歯並びの問題に対応できる矯正方法です。
しかし、ワイヤー矯正と一言で言っても、実はいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。「どの種類が自分に合っているのだろう?」「選び方のポイントは?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、ワイヤー矯正の種類と特徴、そして自分に合った矯正方法の選び方について詳しく解説します。これから矯正治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ワイヤー矯正とは?基本的な仕組みと特徴
ワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を徐々に動かしていく矯正方法です。
歯が動く仕組みは、歯の周りにある「歯槽骨」と「歯根膜」が関係しています。ワイヤーによって一定方向に力が加わると、歯が動く方向の骨が溶け、反対側に新しい骨が作られることで、少しずつ歯が移動していきます。この「骨の吸収と再生」のプロセスを利用して、理想的な歯並びへと導いていくのです。
ワイヤー矯正の最大の特徴は、複雑な歯並びの問題にも対応できる点です。歯の動きを細かくコントロールできるため、様々な症例に対応可能です。一方で、装置が目立つ、食事がしにくい、歯磨きがしづらいといったデメリットもあります。
矯正治療中は、1ヶ月に1度程度の通院が必要です。定期的にワイヤーを調整したり、場合によっては交換したりすることで、徐々に理想の歯並びに近づけていきます。
また、矯正装置が付いていると歯磨きがしにくくなるため、虫歯や歯周病予防のためのメンテナンスも重要になってきます。
ワイヤー矯正の3つの種類と特徴
ワイヤー矯正には大きく分けて3つの種類があります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1. 表側矯正(唇側矯正)
表側矯正は、歯の表側(唇や頬に面する側)にブラケットを装着する最も一般的な矯正方法です。最も症例数が多く、様々な歯並びの問題に対応できます。
メリットとしては、装置が表側にあるため、発音に影響を及ぼしにくい点が挙げられます。また、矯正医にとっても調整がしやすく、複雑な歯の動きにも対応できます。
一方でデメリットは、装置が目立つことです。特に人前に出る機会が多い方や、見た目を気にする方にとっては気になるポイントかもしれません。
2. 裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットを装着する矯正方法です。最大のメリットは、装置が外から見えにくいことです。人前に出る機会が多い方や、矯正中の見た目を気にする方に人気があります。
しかし、装置を裏側に装着するため、初めは舌や口内に違和感が生じやすく、発音に影響を及ぼすこともあります。また、装置の取り付けや調整には高度な技術が必要なため、表側矯正よりも費用が高額になる傾向があります。
さらに、症例によっては対応できなかったり、取り扱っていない歯科医院もあったりするので、事前に確認が必要です。
3. ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は、上の歯を裏側矯正、下の歯を表側矯正で行う方法です。上下とも表側矯正するよりも装置が目立ちにくく、上下とも裏側矯正するよりも費用を抑えられるというメリットがあります。
また、下の歯は表側に装置がつくため、舌が装置に触れにくく、口腔内の違和感や滑舌への影響も最小限に抑えられます。
見た目と費用のバランスを取りたい方にとって、良い選択肢となるでしょう。
ワイヤー矯正に使用する装置の種類
ワイヤー矯正では、ブラケットとワイヤーという2つの主要な装置を使用します。それぞれにいくつかの種類があり、患者さんの希望や症状に合わせて選択することができます。
ブラケットの種類と特徴
ブラケットは歯の表面に接着する小さな装置で、ワイヤーを保持する役割を果たします。主に以下の3種類があります。
メタルブラケット
金属製のブラケットで、最も一般的に使用されています。強度と耐久性に優れており、破損しにくいため、重度の症例にも対応できます。また、ワイヤー矯正の中で最も費用を抑えやすいというメリットがあります。
ただし、金属でできているため矯正器具が目立ちやすいというデメリットがあります。
セラミックブラケット
セラミックは歯の色に近い素材で、メタルブラケットよりも目立ちにくいという特徴があります。強度もあり、着色や変色もしにくいです。
ただし、メタルブラケットよりも費用が高くなる傾向があります。
プラスチックブラケット
プラスチック製のブラケットは、セラミックブラケットと同様に目立ちにくいというメリットがあります。また、金属アレルギーの方にも使用できます。
ただし、他のブラケットに比べて強度が劣り、着色しやすいというデメリットがあります。
ワイヤーの種類と特徴

ワイヤーは矯正治療の段階によって使い分けられます。主に以下の種類があります。
ニッケルチタンワイヤー
矯正治療の初期に使用されることが多いワイヤーです。「超弾性」と「形状記憶」という特徴を持ち、どんなに変形させても歯に加わる力は一定で、安全に治療を進めることができます。
最近のニッケルチタンワイヤーには「温度変態特性」もあり、口の中の温度で超弾性の能力が変化し、形状記憶された形に戻る力が強くなるように設定されているものもあります。
ステンレススチールワイヤー
矯正治療の中盤に使用されることが多いワイヤーです。強く引っ張ってもたわみにくいという特徴があり、特に抜歯症例の場合の空隙閉鎖などに適しています。
βチタンワイヤー
矯正治療の終盤に使用されることが多いワイヤーです。ある程度の硬さと弾性を持ち、細かい歯の位置の調整に適しています。
ホワイトワイヤー
メタルワイヤーを白い金属でコーティングしたワイヤーです。セラミックブラケットと併用することで、より目立ちにくくなります。
自分に合ったワイヤー矯正の選び方
ワイヤー矯正の種類や装置について理解したところで、自分に合った矯正方法をどのように選べばよいのでしょうか。ここでは、いくつかの観点から選び方のポイントをご紹介します。
見た目を重視する場合
矯正中の見た目を最も重視する場合は、裏側矯正がおすすめです。装置が外から見えないため、人前に出る機会が多い方や、接客業の方などに適しています。
ただし、裏側矯正は費用が高く、発音に影響が出る可能性もあるため、その点を考慮する必要があります。
次に見た目が気になる方には、表側矯正でもセラミックブラケットとホワイトワイヤーを組み合わせる方法があります。金属製のブラケットよりも目立ちにくくなります。
費用を重視する場合
費用を重視する場合は、表側矯正でメタルブラケットを選ぶのがおすすめです。ワイヤー矯正の中で最も一般的で費用を抑えられる方法です。
また、保険適用となる場合もありますので、該当するかどうか歯科医師に相談してみましょう。ただし、保険適用となるのは、厚生労働省が定める基準を満たす「顎変形症」などの重度の症例に限られます。
見た目と費用の両方を重視する場合
見た目と費用のバランスを取りたい場合は、ハーフリンガル矯正や、表側矯正でもセラミックブラケットを選ぶ方法があります。
ハーフリンガル矯正は、上の歯だけ裏側矯正にすることで、全て裏側矯正にするよりも費用を抑えつつ、見た目も考慮した方法です。
また、表側矯正でもセラミックブラケットを選べば、メタルブラケットよりは目立ちにくくなります。
ワイヤー矯正を選ぶ際の注意点

ワイヤー矯正を選ぶ際には、以下の点にも注意しましょう。
まず、矯正治療を行う歯科医院選びが重要です。日本矯正歯科学会の認定医が在籍しているかどうかを確認しましょう。認定医は、5年間以上矯正歯科についての研修を行い、学会の試験に合格した歯科医師です。
認定医の資格を持っていれば、矯正歯科の技術・知識があるということになります。日本矯正歯科学会のホームページから、認定医が在籍している医院を確認することができます。
また、コミュニケーションがとりやすい歯科医院を選ぶことも大切です。矯正治療は長期間にわたるため、疑問や不安を気軽に相談できる環境が重要です。
さらに、費用設定が明確で、治療計画が丁寧に説明されるかどうかも確認しましょう。追加費用が発生する可能性や、治療期間の見通しなども含めて、事前に詳しく説明してもらうことが大切です。
矯正治療中のトラブル対応や、通院のしやすさも考慮すべき点です。定期的な通院が必要となるため、通いやすい場所にあるかどうかも重要なポイントとなります。
どうですか?矯正治療を検討する際のポイントが見えてきましたか?
まとめ:自分に合った矯正方法を見つけよう
この記事では、ワイヤー矯正の種類と特徴、そして選び方のポイントについて解説しました。
ワイヤー矯正には、表側矯正、裏側矯正、ハーフリンガル矯正の3つの種類があり、それぞれに特徴があります。また、使用するブラケットやワイヤーにもいくつかの種類があり、患者さんの希望や症状に合わせて選択することができます。
矯正方法を選ぶ際には、見た目、費用、症例の難易度などを考慮して、自分に合った方法を選びましょう。そして、日本矯正歯科学会の認定医が在籍している歯科医院を選び、十分なカウンセリングを受けることが大切です。
矯正治療は長期間にわたりますが、理想の歯並びを手に入れることで、見た目だけでなく、噛み合わせの改善や口腔内の健康維持にもつながります。
当院「あおぞら歯科おとなこども矯正歯科」では、患者さん一人ひとりの口腔内の状態を丁寧に確認し、最適な矯正治療プランをご提案しています。矯正治療についてのご相談は、お気軽に当院までお問い合わせください。
あおぞら歯科おとなこども矯正歯科では、2025年6月11日に長野市に新規開院し、一般歯科から矯正、インプラントまで幅広い治療に対応しています。丁寧なカウンセリングを行い、患者様のご要望やライフプランに合わせた最適な治療プランを提供いたします。矯正治療についてのご相談は、お気軽に当院までお問い合わせください。
著者情報
あおぞら歯科おとなこども矯正歯科 院長
小島 史雄

経歴
2017年3月 日本大学歯学部卒業
2017年~2025年 埼玉県越谷市 浅賀歯科医院 副院長勤務
2022年~2024年 千葉県柏市 柏いろは歯科おとなこども歯科 非常勤勤務
2025年 あおぞら歯科おとなこども矯正歯科
所属学会
日本口腔インプラント学会 専門医
日本歯周病学会
日本インプラント臨床研究会



