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PMTCとは?専門家による歯のクリーニング
「毎日しっかり歯を磨いているのに、むし歯や歯周病になってしまう・・・」
そんな経験はありませんか?実は、どれだけ丁寧に歯磨きをしていても、ご自身のブラッシングだけでは落としきれない汚れが存在します。その汚れこそが、むし歯や歯周病の原因となる「バイオフィルム」です。このバイオフィルムを徹底的に除去するのが、歯科医院で行う専門的なクリーニング「PMTC」なのです。
PMTCとは、「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で、日本語では「専門家による機械的歯面清掃」と訳されます。国家資格を持つ歯科医師や歯科衛生士が、専用の器具とフッ化物入り研磨剤を用いて、歯の表面を徹底的にクリーニングする処置です。
長野市の「あおぞら歯科おとなこども矯正歯科」では、むし歯や歯周病を治療するのではなく、そもそも病気をつくらない口腔環境づくりに力を入れています。患者様一人ひとりに合わせた予防プログラムを組み立て、生涯ご自身の歯を守ることを目標としています。
バイオフィルムとは?歯磨きでは落とせない汚れの正体

バイオフィルムとは、細菌が寄り集まって歯の表面に形成する、ネバネバとした膜のことです。
台所の三角コーナーやお風呂場のヌメヌメした水アカを想像してみてください。あのヌメリと同じようなものが、実は歯の表面にも付着しているのです。このバイオフィルムは、細菌が分泌するバリアに守られているため、普通の歯ブラシではなかなか取り除くことができません。また、薬剤や殺菌剤などの効果も発揮されにくい性質を持っています。
中程度の歯周病がある場合、口腔内すべての歯周ポケットの表面積を合わせると、なんと手のひらサイズになるといわれています。この広範囲にバイオフィルムが付着していると考えると、その影響の大きさがわかるでしょう。
バイオフィルムは時間が経つと石灰化を起こし、歯石となります。歯石になってしまうと、歯ブラシでは絶対に落とすことができず、歯科医院での専門的なクリーニングが必要となります。そのため、定期的なPMTCによって、バイオフィルムが歯石になる前に除去することが重要なのです。
PMTCの驚くべき効果・・・30年間の研究が証明
97.7%の確率でむし歯を予防できる
「本当にPMTCで歯を守れるの?」
そう疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、科学的な研究によって、PMTCの効果は明確に証明されています。スウェーデンの歯科医師であるアクセルソン博士が2004年に発表した研究では、30年という長期にわたって、定期的な予防プログラムの効果を検証しました。
この研究では、個別のセルフケア指導と専門的なクリーニング(PMTC)を定期的に受けたグループを追跡調査しました。その結果、30年後にむし歯や歯周病が原因で歯を失った本数は、ごくわずかでした。さらに驚くべきことに、30年間で新しくできたむし歯の数は、平均してたったの1〜2本だったのです。
つまり、97.7%の確率でむし歯を予防できることが証明されたのです。これは、特別な治療をしたわけではなく、「正しいセルフケア」と「定期的なプロのケア」を継続しただけで達成された結果です。まさに「予防は全ての治療に勝る」という言葉を科学的に証明した、画期的な研究といえるでしょう。
むし歯・歯周病の予防効果
PMTCでは、歯磨きでは取り除けないむし歯の原因となる細菌の塊を除去できます。そのため、むし歯予防に大きな効果が期待できます。また、PMTCは歯の表面についた細かな傷をなめらかに整えることもできるので、歯の表面がツルツルになり、汚れが付着しづらくなります。
歯の表面以外にも、PMTCでは歯茎に近い部分に付着した汚れも落とします。そのため、歯茎への細菌感染が原因で起こる歯周病の予防効果も期待できます。初期の歯周病改善にも有効であることが確認されています。
全身の健康にも影響する
口腔内の健康は、実は全身の健康と密接に結びついています。歯周病の細菌が体内を巡ると、さまざまな悪い症状を引き起こす可能性があるのです。
歯周病の合併症として、糖尿病が挙げられます。歯周ポケットから発生する細菌が体内を巡ると、インスリンを効きにくくするなどの悪影響を及ぼします。歯周病の治療を行うことで糖尿病の症状が落ち着くケースもあり、歯肉の炎症を改善すると、血糖値によい影響を及ぼすことがわかっています。
また、歯周病や虫歯で歯を失うと、食べ物を噛む機能が低下します。厚生労働省のデータによると、歯周病や虫歯で歯を失う人は約7割に達しており、40代から徐々に増加し、65〜69歳にピークを迎えます。歯周病菌を誤嚥すると肺に侵入し、誤嚥性肺炎の原因になることもあります。
妊婦が歯周病や虫歯になると、口腔内から分泌される炎症物質が子宮の収縮を促すことがわかっています。予定より早く出産する早産や、出生時の体重が2,500g未満になる低出生体重児などのリスクがあるため、妊娠中は特に口腔内を清潔に保つことが重要です。
PMTCの具体的な流れ・・・何をするのか詳しく解説

1. お口の中の確認と診断
まず最初に、患者様の歯や歯肉の状態を確認します。
当院では、むし歯・歯周病のリスク評価、ホームケア状況のチェック、歯並び・噛み合わせの確認を行い、患者様一人ひとりに合わせた予防プログラムを設計します。専用の薬剤で歯周病やプラークのある部分を染色し、磨き残しが多い部分を可視化します。染め具合を確認しながら、歯科医師や歯科衛生士が適切なブラッシング指導を行います。
2. 歯石除去(スケーリング)
もし歯石が付着している場合は、フックのようなかたちをしたスケーラーという器具を使って細部まで歯石を徹底除去していきます。歯周病の原因となる歯石を専用器具で取り除くことで、初期の歯周病改善にも有効です。
PMTCは歯石を取ることができないため、治療で歯石を取り除いてあることが前提となります。そのため、初診時には現在の口腔内の状態・状況をしっかり把握し、最適な治療を提供するために、レントゲン写真や歯周病の検査を行い、歯石を除去後に処置を行います。
3. 専用器具による徹底クリーニング
次に専用のペーストを塗布し、清掃・研磨していきます。
当院では、通常は自由診療で行うことが多い「エアフロー(パウダーメンテナンス)」を保険診療で提供しています。エアフローは、鋭利な器具を使わず、細かなパウダーを吹き付けて、こびりついた汚れや着色を短時間で除去する方法です。歯や歯ぐきへのダメージが少なく、バイオフィルムや着色を効果的に除去できるという特徴があります。
痛みが苦手な方やお子様にも人気の予防方法で、施術後は歯の表面がツルツルになるため、汚れの再付着も防ぎます。ブリッジ・被せ物・インプラント周囲など、磨きにくい部分もきれいにできます。
専用のブラシを使用して、詰め物・被せ物・インプラントのまわりを洗浄します。詰め物・被せ物・ブリッジ・インプラントの境目にバイオフィルムが付くと中に細菌が入ってしまい、むし歯・歯周病・インプラント周囲炎になるリスクが高くなるため、丁寧に処置を行います。
4. 仕上げ磨きとフッ素塗布
ハイドロキシアパタイトという歯と同じ成分のペーストを塗り込み、表面をツルツルにし、細菌が付きにくい歯の表面に修復します。仕上げに口の中を洗い、歯質を強化するフッ素を塗布します。汚れのない状態の歯面にフッ素を塗布していくため、より多くのフッ素を取り込むことができます。
フッ素塗布は、お子様だけでなく大人のむし歯予防にも効果的で、エナメル質を強化し、初期むし歯の修復も期待できます。フッ化物の浸透率を高めるため、塗布後30分間はご飲食をお控えいただきます。
PMTCは、だいたい30分〜1時間程度で完了します。一般的なPMTCの施術時間は30分〜1時間程度ですが、汚れが多い場合などはさらに時間がかかることもあります。そのため、時間に余裕のある日に通院されることをおすすめします。
PMTCはこんな方におすすめです
歯列矯正中の方
矯正装置の周りの汚れなどを取り除くのが難しいため、歯磨きの手助けとしてPMTCが有効です。矯正装置を装着している部分は特にプラークが蓄積しやすく、ご自身で取り除くのは困難です。定期的なPMTCで、矯正中もお口の健康を維持できます。
被せ物や詰め物が多い方
ブリッジなどは磨きにくい部分であるため、専門的なケアが必要となってきます。被せ物や詰め物の境目は、バイオフィルムが付着しやすく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。PMTCで定期的にケアすることで、治療した歯を長持ちさせることができます。
色の濃い飲食物をよく口にする方
コーヒーや紅茶、赤ワインなどを日常的に飲まれる方、タバコを吸われる方は、着色汚れが付きやすくなります。PMTCでは、食べ物やタバコなどによる着色汚れも除去します。歯本来の白さやツヤを取り戻せるので、見た目にも嬉しい変化があるでしょう。
治療ではなく、歯磨きの手伝いをしてほしい方
歯肉に腫れもなく、歯に痛みもないが、口の中をすっきりさせたい方にもおすすめです。PMTCは予防目的の処置ですので、健康な状態を維持したい方に最適です。
セルフケアとプロケアの両立が予防の鍵

毎日のセルフケアの重要性
むし歯や歯周病の多くは、毎日のセルフケアだけでは防ぎきれません。
しかし、だからといってセルフケアが不要というわけではありません。むしろ、毎日の歯みがき(セルフケア)と専門的クリーニング(プロフェッショナルケア)の両立こそが、長期予防の鍵なのです。この両輪のどちらか一方が欠けてもNGです。
当院では、家でのケア方法、歯ブラシ・歯間ブラシの選び方、磨き方の癖まで細かくアドバイスしています。「家に帰ってから何をすればいいのか」が明確になるため、継続しやすい予防習慣が身につきます。
当院のホームケア指導
一人ひとりに合わせたブラッシング方法、フロス・歯間ブラシの選び方や使い分けまで、丁寧にアドバイスしています。スクラッピング法、バス法、キシリトール活用法など、ご家庭で再現しやすい方法をお伝えし、日常ケアの質を高めます。
歯ブラシを比較する論文では、歯ブラシの種類で清掃効果はほとんど変わらないと結論づけています。つまり、磨けるか磨けないかは患者様の歯磨きのテクニックにかかっています。そのため、当院ではむし歯・歯周病を予防するための適切なブラッシング方法を皆様にお伝えしております。
ブラッシングはただ磨けばよいというものではありません。多くの方は「磨いた」という事実だけで満足してしまい、肝心の「汚れ」はほとんど落せていないものです。適切なブラッシング指導により、ご自宅でのセルフケアの質を大幅に向上させることができます。
定期的なメンテナンスの推奨頻度
PMTCは定期的に行うことで、むし歯・歯周病予防効果も高まっていきます。
一般的には、3ヶ月に一度の定期メンテナンスが推奨されています。ただし、お口の状態やリスク因子によって、最適な頻度は異なります。当院では、定期的な検査と予防プランの見直しを行い、患者様ごとに最適なメンテナンスメニューを設計します。
定期的にPMTCを受けることで、歯の表面がツルツルになり、汚れの再付着を防ぐことができます。また、口臭の予防にもなります。口臭は口内の細菌が出す揮発性のガスが原因で発生するケースが多いため、PMTCを受け、口内の細菌を減らすことで、この揮発性のガスが発生しにくくなり、口臭を防ぐことができます。
PMTCの費用について
保険診療と自由診療の違い
通常、PMTCは自由診療となります。自由診療の場合、歯科医院によって費用が異なりますが、一般的な費用相場は8,000円〜15,000円程度です。
一部例外として、厚生労働省が認可した「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」でPMTCを受ける場合は、保険が適用されることがあります。保険が適用された場合、PMTCにかかる費用は3割負担で1回3,000円程度です。
当院では、通常は自由診療で行うことが多いエアフロー(パウダーメンテナンス)を保険診療で提供している点が大きな特徴です。一定の基準を満たした歯科医院で受けた場合のみ保険が適用されるので、費用を安く抑えたい方は確認されることをおすすめします。
予防は「治療しない未来」への投資
当院では、予防は「治療しない未来」への投資であると考えています。
むし歯や歯周病は、ほとんどが予防で防げる病気です。悪くなる前に定期的にお口の状態を整えることで、将来の治療費や痛みのリスクを大幅に減らすことができます。虫歯や歯周病は、一度進行してしまうと自然に治ることはありません。治療のために歯を削ったり、神経を取ったりすると、歯の寿命は確実に縮んでしまいます。
長期的に見れば、定期的なPMTCを受けることで、高額な治療費を払う必要がなくなり、結果的に経済的な負担も軽減されます。何より、ご自身の歯を生涯にわたって守ることができるという価値は、何物にも代えがたいものです。
まとめ・・・「削らない・抜かない未来」をつくるために
PMTCは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を用いて行う、専門的な歯のクリーニングです。バイオフィルムという、歯ブラシでは落とせない細菌の塊を徹底的に除去することで、むし歯や歯周病を効果的に予防できます。
30年間の研究によって、定期的なPMTCと適切なセルフケアを組み合わせることで、97.7%の確率でむし歯を予防できることが証明されています。また、歯周病の予防・改善、着色汚れの除去、口臭の予防など、さまざまな効果が期待できます。
あおぞら歯科おとなこども矯正歯科では、「削らない・抜かない未来」をつくるための予防歯科を大切にしています。患者様一人ひとりに合わせた個別設計の予防メンテナンスを提供し、セルフケアとプロケアの両立を徹底してサポートします。
通常は自由診療で行うことが多いエアフロー(パウダーメンテナンス)を保険診療で提供している点も、当院の大きな特徴です。痛みが少なく、歯や歯ぐきへのダメージが少ない方法で、お子様から大人まで安心して受けていただけます。
「歯が痛くなってから行く場所」から「健康を守るために定期的に通う場所」へ。歯科医院のイメージを変えて、予防を続けることで、生涯ご自身の歯で食事を楽しめる未来を手に入れませんか?
長野市で予防歯科をお探しの方は、ぜひ「あおぞら歯科おとなこども矯正歯科」にご相談ください。患者様一人ひとりに最適な予防プログラムをご提案し、一生涯の健康なお口づくりをサポートいたします。
著者情報
あおぞら歯科おとなこども矯正歯科 院長
小島 史雄

経歴
2017年3月 日本大学歯学部卒業
2017年~2025年 埼玉県越谷市 浅賀歯科医院 副院長勤務
2022年~2024年 千葉県柏市 柏いろは歯科おとなこども歯科 非常勤勤務
2025年 あおぞら歯科おとなこども矯正歯科
所属学会
日本口腔インプラント学会 専門医
日本歯周病学会
日本インプラント臨床研究会



