
歯を白くしたい。
そう思ったとき、誰もが気軽にホワイトニングを受けられるわけではありません。実は、施術を受けることで健康リスクが生じる方や、効果が期待できないケースがあることをご存知でしょうか。
日本歯科審美学会や厚生労働省が定める「歯科用漂白材等審査ガイドライン」には、ホワイトニングを行ってはいけない方や、施術前に治療が必要な方について明確な指針が示されています。これらの指針は、患者さんの安全を守るために設けられたものです。
今回は、ホワイトニングが向かない人の特徴や、施術前に確認すべき注意点について、歯科医師の視点から詳しく解説します。
状況によって施術を控えたほうが良い方
次に、時期や状況によってホワイトニングを控えるべき「相対的禁忌症」について説明します。
妊娠中・授乳中の女性
妊娠中や授乳中の女性は、ホワイトニングを控えることが推奨されています。
これは、過酸化水素が胎児や乳児に与える影響が完全には解明されていないためです。現時点で明確な健康被害の報告はありませんが、安全性が確立されていない以上、リスクを避けるべきだと考えられています。
出産後、授乳期間が終了してからホワイトニングを受けることをおすすめします。
小児・乳児
永久歯が生え揃っていない小児や乳児は、ホワイトニングの対象外です。
成長期の歯は、エナメル質や象牙質が未成熟な状態にあります。この時期にホワイトニング剤を使用すると、歯の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。また、知覚過敏などの副作用も起こりやすくなります。
一般的には、永久歯が完全に生え揃い、エナメル質が成熟する16歳以降がホワイトニングの適齢期とされています。
歯科治療で用いる材料にアレルギーのある方
オフィスホワイトニングでは、薬剤以外にも様々な材料を使用します。例えば、唇を保護するクリームや、歯ぐきを保護するゲル状の材料などです。
これらの材料に含まれる成分(乳製品由来のものなど)にアレルギーがある場合は、事前に歯科医師に申告してください。代替品を使用するなど、適切な対応を取ることができます。
施術前に処置が必要な方

ホワイトニングそのものは可能でも、事前に治療が必要なケースがあります。
むし歯や歯周病がある方
むし歯や歯周病がある状態でホワイトニングを行うと、薬剤が病変部に浸透し、強い痛みや炎症を引き起こす可能性があります。
当院では、ホワイトニングを希望される方には必ず事前検査を行い、むし歯や歯周病の有無を確認します。治療が必要な場合は、まずそちらを優先し、口腔内が健康な状態になってからホワイトニングを開始します。
知覚過敏がある方
知覚過敏とは、冷たいものや甘いものがしみる症状のことです。
ホワイトニング剤は、一時的に歯の表面の微細な構造を変化させるため、知覚過敏の症状を悪化させることがあります。既に知覚過敏がある方は、施術前に症状を軽減する処置(知覚過敏用の薬剤塗布など)を行うことが推奨されます。
また、ホワイトニング後に一時的に知覚過敏が起こることもありますが、多くの場合24時間以内に治まります。
重篤な歯肉炎・歯周炎がある方
歯ぐきに炎症がある状態では、ホワイトニング剤が歯ぐきに触れると強い痛みや腫れを引き起こします。
重度の歯肉炎や歯周炎がある場合は、まず歯周病治療を行い、炎症を抑えてからホワイトニングを行います。健康な歯ぐきであれば、薬剤が多少触れても大きな問題は起こりません。
歯の詰め物が破損している方
詰め物(レジンや金属)が破損していると、その隙間からホワイトニング剤が歯の内部に浸透し、痛みや炎症を引き起こす可能性があります。
破損した詰め物は、ホワイトニング前に修復する必要があります。また、ホワイトニング後に詰め物の色が目立つようになった場合は、白くなった歯の色に合わせて詰め直すことも可能です。
ホワイトニング効果が期待できない可能性がある歯

ホワイトニングは天然歯にのみ効果があります。
人工の詰め物・被せ物
レジン(プラスチック)やセラミック、金属などの人工物は、ホワイトニング剤では白くなりません。
前歯に大きな詰め物や被せ物がある場合、周囲の天然歯だけが白くなり、人工物の色が目立つようになることがあります。この場合は、ホワイトニング後に詰め物を白い歯の色に合わせて作り直すことで、自然な見た目を取り戻すことができます。
神経がない歯(失活歯)
神経を取った歯は、通常のホワイトニングでは白くなりにくい傾向があります。
このような歯には、「ウォーキングブリーチ」という特殊な方法があります。歯の裏側から穴を開け、内部に薬剤を入れて白くする方法です。ただし、歯の状態によっては適用できない場合もあるため、診断が必要です。
エナメル質・象牙質形成不全症
生まれつきエナメル質や象牙質の形成が不完全な方は、ホワイトニング効果が得られにくいことがあります。
この場合、ホワイトニングよりもセラミック治療などの審美歯科治療が適している場合があります。
重度のテトラサイクリン変色歯
テトラサイクリン系抗生物質の影響で変色した歯は、ホワイトニングで改善できる場合とできない場合があります。
軽度から中等度の変色であれば、複数回のホワイトニングで改善が期待できますが、重度の場合は効果が限定的です。この場合も、セラミック治療などの代替手段を検討することになります。
その他の注意が必要な方
顎関節症の方
顎関節症がある方は、長時間口を開けているオフィスホワイトニングで顎に負担がかかることがあります。
この場合は、1回の施術時間が短いホワイトニング方法を選ぶか、自宅で行うホームホワイトニングをおすすめします。
矯正治療直後の方
矯正治療中や直後は、歯が動いたことで知覚過敏が起こりやすい状態にあります。
矯正装置を外した直後にホワイトニングを行うと、しみる症状が強く出ることがあるため、少し期間を置いてから施術することをおすすめします。
レーシック手術直後の方
レーシック手術を受けた直後は、目が光に敏感になっています。
オフィスホワイトニングで使用するLEDライトが目に影響を与える可能性があるため、紫外線カットのゴーグルを装着するか、光を使用しないホワイトニング方法を選択します。
ヘルペスの既往がある方
口唇ヘルペスの既往がある方は、ホワイトニングの刺激でヘルペスが再発することがあります。
心配な場合は、事前に抗ヘルペス薬を服用するか、皮膚科に相談してから施術を受けることをおすすめします。
現在お薬を服用中の方
一部の薬剤は光過敏症を引き起こすことがあります。
現在服用中のお薬がある方は、必ず事前に歯科医師に申告してください。必要に応じて、主治医に確認を取ることもあります。
ホワイトニング後の注意点

施術後にも守るべきルールがあります。
色の濃い飲食物は24時間避ける
ホワイトニング直後の歯は、色素を吸収しやすい状態になっています。
オフィスホワイトニング後は24時間、ホームホワイトニング後は4時間、以下のような飲食物を控えてください。
- コーヒー、紅茶、赤ワイン
- カレー、ミートソース、醤油
- チョコレート、ぶどう、ベリー類
- 色の濃い調味料(ソース、ケチャップなど)
また、喫煙も着色の原因となるため、同様に控えることをおすすめします。
酸性度の高い飲食物も避ける
炭酸飲料や柑橘類など、酸性度の高い飲食物は、ホワイトニング直後の歯を傷つける可能性があります。
施術後24時間は、これらの摂取も控えてください。
知覚過敏が起こることがある
ホワイトニング中や施術後に、一時的に歯がしみることがあります。
多くの場合、症状は24時間以内に治まりますが、症状が続く場合は歯科医院に相談してください。知覚過敏を軽減する薬剤の使用や、ホワイトニングの頻度を調整することで対応できます。
安全にホワイトニングを受けるために
ホワイトニングは、適切な診断と施術によって安全に行える審美歯科治療です。
しかし、禁忌症や注意が必要なケースを無視して施術を行うと、健康被害や期待した効果が得られないといった問題が生じます。
当院では、ホワイトニングを希望される方には必ず事前のカウンセリングと検査を行い、お一人おひとりの口腔内の状態や全身の健康状態を確認します。その上で、最も適した施術方法をご提案しています。
日本歯科審美学会では、ホワイトニングに関する正しい知識と技術を持つ歯科医師・歯科衛生士の育成に努めており、「ホワイトニングコーディネーター」という認定制度も設けています。当院のスタッフもこの資格を取得しており、安心して施術を受けていただける体制を整えています。
ホワイトニングを検討されている方は、施術内容や費用、そして今回お伝えした注意点について十分な説明を受け、納得した上で施術を受けることが大切です。
まとめ
ホワイトニングは多くの方に喜ばれる治療ですが、誰でも受けられるわけではありません。
無カタラーゼ症の方や妊娠中・授乳中の女性、小児などは施術を控えるべきですし、むし歯や歯周病がある場合は事前の治療が必要です。また、人工の詰め物や神経のない歯は、通常のホワイトニングでは白くならないことも理解しておく必要があります。
安全で効果的なホワイトニングを受けるためには、歯科医師による適切な診断と、患者さん自身の正しい理解が不可欠です。
長野市のあおぞら歯科おとなこども矯正歯科では、患者さんの口腔内の状態を丁寧に診査し、お一人おひとりに最適なホワイトニング方法をご提案しています。オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング、デュアルホワイトニングの3つの方法から、ライフスタイルやご希望に合わせてお選びいただけます。
白く美しい歯で、自信を持って笑顔になれる毎日を。まずはお気軽にご相談ください。



