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マウスピース矯正と保険適用の現状

「マウスピース矯正って保険は適用されるの?」「2025年から保険でマウスピース矯正ができるって本当?」このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、2025年10月現在、見た目の美しさを目的としたマウスピース矯正は基本的に保険適用外となり、費用は全額自己負担となります。日本の健康保険制度は、虫歯や歯周病といった病気の治療を対象としており、美容目的の施術はカバーされないためです。
しかし、特定の先天性疾患による不正咬合の場合は、保険適用となるケースもあります。これは一般的な歯並びの悩みとは区別される医学的に必要な治療として認められているからです。
マウスピース矯正は透明なプラスチック製のマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。従来のワイヤー矯正と比べて目立ちにくく、取り外しができるため、日常生活への影響が少ないのが特徴です。
当院でも多くの患者さんからマウスピース矯正についてのご質問をいただきます。特に「保険は使えるのか」「実際の費用はどのくらいか」といった点は、治療を検討する上で重要なポイントとなっています。
この記事では、2025年最新の情報をもとに、マウスピース矯正の保険適用条件や料金相場、費用を抑える方法までを詳しく解説します。
マウスピース矯正が保険適用される条件
マウスピース矯正が保険適用されるのは、実は非常に限られたケースのみです。具体的には、厚生労働省が定める「先天性疾患」に該当する場合に限られます。
日本矯正歯科学会によると、保険適用となる代表的な症例には以下のようなものがあります。
- 唇顎口蓋裂に起因した咬合異常
- 顎変形症(受け口や出っ歯が著しく重度な場合)
- 先天性の疾患による咬合異常
これらの症例は、単に見た目を良くするためではなく、咀嚼や発音などの口腔機能の改善が必要な医学的理由があるケースです。
「2024年から保険適用で白い歯にできる」という噂を聞いたことがある方もいるかもしれません。
この噂の真相は、2024年6月に診療報酬が改訂されたことで、審美性に優れた白い歯「CAD/CAM冠用材料(III)」を保険適用で使える範囲が広がったというものです。これは歯のホワイトニングやマウスピース矯正とは異なるものなので、誤解しないように注意しましょう。
つまり、一般的な歯並びの悩み(すきっ歯、ガタガタした歯並び、軽度の出っ歯など)に対するマウスピース矯正は、2025年現在も自由診療(自費診療)となります。
どうですか?保険適用の条件は思ったより厳しいと感じませんか?
マウスピース矯正の種類と料金相場

マウスピース矯正にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や料金が異なります。2025年現在の主なマウスピース矯正の種類と料金相場をご紹介します。
インビザライン
インビザラインは1997年に設立されたアライン・テクノロジー社が開発したシステムで、マウスピース矯正のパイオニアとして知られています。世界100カ国以上で累計2000万人以上(2025年6月現在)の患者さんが使用しており、マウスピース矯正市場では圧倒的なシェアを誇っています。
料金相場:55万円〜80万円程度
インビザラインの最大の特徴は、豊富な症例実績と高い信頼性です。複雑な歯の動きにも対応できる技術力を持っており、多くの歯科医院で採用されています。
シュアスマイル
シュアスマイル(SureSmile)は、世界最大手の歯科機器メーカーであるデンツプライシロナ社が提供するマウスピース矯正システムです。日本では2021年に発売された比較的新しい製品ですが、世界的な大企業が開発した信頼性の高いシステムとして注目を集めています。
料金相場:50万円〜75万円程度
シュアスマイルはインビザラインと比較すると若干費用が抑えられる傾向にあります。3Dシミュレーション技術を活用した精密な治療計画が特徴です。
国産・その他のマウスピース矯正
近年では国産のマウスピース矯正システムや、クリニック独自のマウスピース矯正サービスも増えています。これらは海外ブランドと比較して費用を抑えられることが多いです。
料金相場:30万円〜55万円程度
ただし、対応できる症例の範囲が限られていたり、サポート体制に差があったりする場合もあるため、選ぶ際は慎重に検討する必要があります。
マウスピース矯正の料金内訳と追加費用
マウスピース矯正の料金には、一般的に以下のような項目が含まれています。
- 初診料・検査料
- 治療計画立案料
- マウスピース製作費
- 調整料
- 定期検診料
しかし、クリニックによっては、これらの費用が別途かかる場合もあります。また、治療中に追加で発生する可能性のある費用についても、事前に確認しておくことが重要です。
要注意の追加費用
マウスピース矯正を検討する際に、以下のような追加費用が発生する可能性があることを知っておきましょう。
まず、リテーナー(保定装置)の費用です。矯正治療が終わった後、歯が元の位置に戻るのを防ぐために使用するもので、3万円〜5万円程度かかることが一般的です。
また、マウスピースを紛失・破損した場合の再製作費用も考慮しておく必要があります。1セットあたり1万円〜3万円程度かかることが多いです。
さらに、治療計画の変更が必要になった場合や、予想以上に治療が長引いた場合にも追加費用が発生することがあります。
これらの費用について、治療開始前にクリニックで詳しく説明を受け、納得した上で治療を始めることをおすすめします。
マウスピース矯正の費用を抑える方法

マウスピース矯正は決して安い治療ではありませんが、いくつかの方法で費用を抑えることが可能です。
部分矯正を選択する方法があります。全体の歯並びではなく、前歯など見た目が気になる部分だけを矯正する「部分矯正」を選ぶことで、費用を30万円〜55万円程度に抑えられる場合があります。
ただし、部分矯正は適応できる症例が限られるため、まずは歯科医師に相談してみましょう。
医院独自のキャンペーンやモニター価格を利用するのも一つの方法です。多くの歯科医院では、定期的にキャンペーンを実施していたり、モニター価格で治療を提供していたりします。
費用だけで歯科医院を選ぶのではなく、医師の経験や実績、アフターケアの充実度なども総合的に判断することが大切です。
医療費控除を活用することも忘れないでください。年間10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告をすることで税金の一部が還付される「医療費控除」が適用されます。マウスピース矯正の費用も医療費控除の対象となるため、節税効果が期待できます。
また、多くの歯科医院では分割払いやローンを組むことも可能です。一度に大きな金額を支払うのが難しい場合は、このような支払い方法も検討してみましょう。
あなたの状況に合った支払い方法を見つけることで、経済的な負担を軽減できるかもしれませんね。
マウスピース矯正のメリット・デメリット
マウスピース矯正を検討する際には、費用面だけでなく、メリットとデメリットも理解しておくことが大切です。
マウスピース矯正の主なメリット
- 目立ちにくい:透明なマウスピースは装着していてもほとんど目立たないため、人前で話すことが多い方や、見た目を気にする方に適しています。
- 取り外しが可能:食事や歯磨きの際に取り外せるので、口腔衛生を保ちやすく、食事の制限もありません。
- 痛みが少ない:従来のワイヤー矯正と比べて、痛みや不快感が少ない傾向にあります。
- 治療前にシミュレーション可能:多くの場合、治療前に3Dシミュレーションで仕上がりを確認できます。
マウスピース矯正の主なデメリット
- 自己管理が重要:1日20時間以上の装着が推奨されており、これを守れないと治療効果が十分に得られないことがあります。
- 複雑な症例には不向き:重度の不正咬合や複雑な歯の動きが必要な場合は、従来のワイヤー矯正の方が適していることもあります。
- 費用が高額:保険適用外の自由診療のため、費用負担が大きくなります。
- 紛失・破損のリスク:取り外し可能なため、紛失や破損のリスクがあります。
これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、ご自身の生活スタイルや優先事項に合わせて選択することが大切です。
マウスピース矯正を選ぶ際のポイント
マウスピース矯正を提供している歯科医院は数多くありますが、どのように選べばよいのでしょうか。以下のポイントを参考にしてください。
まず、矯正治療の実績と経験が豊富な医院を選ぶことが重要です。マウスピース矯正は比較的新しい治療法ですが、症例数が多い医院では様々なケースに対応したノウハウがあります。
また、矯正歯科の専門医や認定医が在籍しているかどうかも重要なポイントです。日本矯正歯科学会認定医やインビザライン認定ドクターなどの資格を持つ医師がいれば、より専門的な治療が期待できます。
さらに、アフターケアや保証体制がしっかりしているかどうかも確認しましょう。矯正治療は長期間にわたるため、万が一のトラブル時にも対応してもらえる体制が整っていることが安心です。
当院「あおぞら歯科おとなこども矯正歯科」では、患者さん一人ひとりに丁寧なカウンセリングを行い、ライフスタイルや予算に合わせた最適な矯正プランをご提案しています。マウスピース矯正についてご興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ:マウスピース矯正を検討する際の心構え
2025年現在、マウスピース矯正は基本的に保険適用外の自由診療となります。特定の先天性疾患による不正咬合の場合のみ、保険適用となる可能性があります。
マウスピース矯正の料金相場は、ブランドや治療範囲によって異なりますが、全体矯正で50万円〜80万円程度、部分矯正で30万円〜55万円程度が一般的です。
費用を抑える方法としては、部分矯正の検討、キャンペーンやモニター価格の利用、医療費控除の活用などがあります。ただし、費用だけでなく、医師の実績や医院のサポート体制なども総合的に判断して選ぶことが大切です。
マウスピース矯正は目立ちにくく取り外しが可能という大きなメリットがある一方で、自己管理の重要性や高額な費用というデメリットもあります。ご自身の生活スタイルや優先事項に合わせて選択しましょう。
歯並びの悩みは人それぞれです。まずは専門医に相談し、あなたに最適な矯正方法を見つけることをおすすめします。
当院「あおぞら歯科おとなこども矯正歯科」では、マウスピース矯正をはじめとした様々な矯正治療に対応しています。長野市で歯並びでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
著者情報
あおぞら歯科おとなこども矯正歯科 院長
小島 史雄

経歴
2017年3月 日本大学歯学部卒業
2017年~2025年 埼玉県越谷市 浅賀歯科医院 副院長勤務
2022年~2024年 千葉県柏市 柏いろは歯科おとなこども歯科 非常勤勤務
2025年 あおぞら歯科おとなこども矯正歯科
所属学会
日本口腔インプラント学会 専門医
日本歯周病学会
日本インプラント臨床研究会



